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自動車では一般的になった残価設定型のローンが、住宅にも登場しています。仕組みは似ていますが、住宅の場合は事業者によって考え方が大きく異なります。 ■ 残価設定型の基本 通常の住宅ローンは、借入額の全額を返済期間で割って返します。 残価設定型では、将来のある時点での住宅の価値(残価)をあらかじめ見込み、その分を返済対象から外します。返すのは「借入額 − 残価」の部分だけです。 たとえば4,000万円の物件で、20年後の残価を1,500万円と見込めば、20年かけて返すのは2,500万円分になります。月々の返済は当然軽くなります。 期間満了時の選択肢は、一括で残価を払って所有し続けるか、住宅を手放して精算するか、あるいは借り換えるか。制度によって異なります。 ■ 一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)の仕組み JTIは国土交通省の支援を受けて設立された一般社団法人です。もともと「マイホーム借上げ制度」で知られています。 マイホーム借上げ制度とは、50歳以上の方が持ち家をJTIに貸し出し、JTIが借り上げて転貸する仕組みです。空室が生じても、最低賃料が保証されます。 JTIの残価設定型は、この借上げ制度を出口として組み合わせたところに特徴があります。将来その住宅を貸したときに得られる賃料を裏づけとして、残価を設定する考え方です。 つまりJTIが見ているのは「売ったらいくらか」ではなく「貸したらいくら得られるか」です。 対象は主に、長期優良住宅など一定の性能を満たす住宅です。長く貸せる品質があることが前提となるためです。 ■ ドコモSMTBネット銀行の仕組み 住信SBIネット銀行は、NTTドコモグループ入りに伴い「ドコモSMTBネット銀行」となりました。 ネット銀行系の残価設定型は、金融商品としての設計が中心です。将来の売却価値を見込んで月々の返済を抑え、期間満了時に売却・一括返済・借り換えのいずれかを選ぶ形が一般的です。 対象物件は、残価を見込める資産性のある物件に限られます。立地や築年数、管理状態などの条件が設けられます。 ※ 商品内容、金利、対象条件は変更されます。必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。 https://www.netbk.co.jp/ ■ 二つの違いを整理する 目的 ・JTI 高齢期の住み替えと、住宅を社会的に活用し続けること ・ネット銀行系 購入時の月々負担を抑えること 残価の裏づけ ・JTI 将来の賃料収入 ・ネット銀行系 将来の売却価格 主な対象年齢 ・JTI 借上げ制度は50歳以上が中心 ・ネット銀行系 一般の住宅ローン利用者 出口 ・JTI 貸して住み替える、という道筋が用意されている ・ネット銀行系 売却または一括返済が基本 同じ「残価設定」でも、前者は住まいの循環を作る社会的な仕組み、後者は金融商品としての工夫です。比べる対象というより、目的が違うと考えたほうが正確です。 ■ 残価設定型の利点 ・月々の返済が抑えられる。同じ返済額でより良い物件を狙える ・返済負担率に余裕が生まれ、他の支出や貯蓄に回せる ・将来の住み替えが前提として組み込まれている ■ 注意すべき点 1 残価は保証ではない場合がある 残価をどう扱うかは制度によります。期間満了時に見込みどおりの価値がなければ、差額の負担が生じる形もあります。「残価保証があるのか、見込みにすぎないのか」を必ず確認してください。 2 総支払額は増えることがある 元金の減りが遅い分、利息の総額は通常のローンより大きくなる傾向があります。月々の軽さと総額は別に評価する必要があります。 3 対象物件が限られる 残価を見込める物件、つまり資産性のある物件しか対象になりません。裏を返せば、対象になる物件は資産性が認められたということでもあります。 4 途中売却の扱い 期間中に売却したい場合の条件を確認してください。住み替えの自由が制限される設計もありえます。 5 金利水準 通常の住宅ローンより金利が高い場合があります。月々の軽さがそれで相殺されないか、総額で比較してください。 ■ 誰に向いているか ・月々の負担を抑えつつ、資産性の高い物件を選びたい方 ・将来の住み替えを最初から想定している方 ・JTIの場合は、老後に持ち家を貸して住み替える計画のある方 逆に、その住宅に長く住み続けるつもりで、繰上返済で早く完済したい方には向きません。通常の住宅ローンのほうが総支払額を抑えられます。 ■ 検討の手順 1 通常の住宅ローンで組んだ場合の月々と総額を出す 2 残価設定型の月々と総額を出す 3 差額と、期間満了時の選択肢を並べて比べる 4 残価が保証か見込みかを確認する 5 途中売却の条件を確認する 住宅ローンは金額も期間も大きい契約です。仕組みが新しいものほど、条件を隅々まで確認してから判断してください。
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