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住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅取得を支える最も大きな税制優遇です。仕組みを理解して使うかどうかで、負担が数百万円変わります。 ■ 基本の仕組み 年末時点の住宅ローン残高に控除率を掛けた金額が、所得税から差し引かれます。所得税で引ききれない分は、翌年の住民税から一定の上限まで控除されます。 控除率は0.7%です(2022年の改正以降)。 たとえば年末残高が3,000万円なら、その年の控除額は21万円です。残高は毎年減るため、控除額も年々小さくなります。 ■ 控除期間 ・新築住宅、買取再販住宅 最長13年 ・既存住宅(中古) 10年 買取再販とは、事業者が中古住宅を買い取り、一定のリフォームを行って売る住宅です。中古でありながら新築に近い扱いを受けられます。中古を検討する際は、この区分に該当するか確認する価値があります。 ■ 借入限度額は住宅の性能で変わる 控除の対象となる借入額には上限があります。そして上限は、住宅の環境性能によって差が設けられています。 ・長期優良住宅、低炭素住宅 ・ZEH水準省エネ住宅 ・省エネ基準適合住宅 ・上記に該当しないその他の住宅 省エネ性能が高いほど限度額が大きくなります。省エネ基準を満たさない新築住宅は、そもそも控除の対象外となる場合があります。 ※ 限度額の具体的な金額、入居年による違い、子育て世帯などへの上乗せ措置は、改正が頻繁です。国税庁および国土交通省のサイトで、入居予定年の条件を必ずご確認ください。 ■ 主な要件 ・自ら居住すること。取得から6か月以内に入居し、その年の年末も住んでいること ・床面積が50平方メートル以上(合計所得金額が一定以下の場合、40平方メートル以上に緩和される特例あり) ・床面積の2分の1以上が居住用であること ・返済期間が10年以上であること ・合計所得金額が2,000万円以下であること ・中古住宅の場合、新耐震基準に適合していること(登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降であれば適合とみなされる) 床面積の測り方には注意が必要です。登記簿面積(内法)と、販売図面の面積(壁芯)は異なります。マンションでは登記簿面積のほうが小さくなるため、50平方メートルぎりぎりの物件では、登記簿を確認してください。 ■ 手続き 初年度は確定申告が必要です。会社員の方も、この年だけは自分で申告します。 必要な書類の例 ・確定申告書 ・住宅借入金等特別控除額の計算明細書 ・住宅ローンの年末残高等証明書(金融機関から届く) ・登記事項証明書 ・売買契約書の写し ・本人確認書類 ・住宅の性能を証明する書類(該当する場合) 2年目以降は、会社員であれば年末調整で処理できます。 ■ 落とし穴1 譲渡益の特例との併用はできない 住み替えを考えている方には、これが最も重要です。 住宅を売却して利益が出た場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」や「買換え特例」といった制度があります。 これらの特例を使うと、新居の住宅ローン控除は受けられません。売却した年とその前後を含む一定期間が対象となります。 判断の目安 ・譲渡益が出ない、または小さい → 特例を使わず、新居の住宅ローン控除を取る ・譲渡益が大きい → どちらが有利か試算する 売却を決める前に、税理士または税務署にご相談ください。順番を誤ると取り返しがつきません。 ■ 落とし穴2 所得税額を超えては戻らない 控除額が21万円でも、その年の所得税が15万円なら、戻るのは15万円までです。残りは住民税から控除されますが、こちらにも上限があります。 年収が高くない時期に大きな借入をしても、控除枠を使い切れない場合があります。ふるさと納税やiDeCoなど他の控除を併用している場合は、さらに影響します。 ■ 落とし穴3 繰上返済との関係 繰上返済をすると年末残高が減り、控除額も減ります。 控除率0.7%より借入金利が低い間は、繰上返済せずに手元資金を残したほうが有利になる場合があります。控除期間が終わってから繰上返済するという判断も成り立ちます。 ただし返済期間を短縮する繰上返済により、返済期間が10年未満になると、控除そのものが受けられなくなります。この点は特に注意してください。 ■ 落とし穴4 住まなくなったら受けられない 転勤などで住まなくなると、その年以降は控除を受けられません。ただし単身赴任で家族が住み続ける場合は、継続できることがあります。 やむを得ない転勤で家族全員が転居する場合、所定の届出をしておくと、再入居後に残りの期間の控除を受けられる制度があります。転勤の可能性がある方は、事前に確認しておいてください。 ■ ペアローンと収入合算 夫婦それぞれが借りるペアローンでは、二人ともが控除を受けられます。控除枠を使い切れない場合には有効です。 ただし、どちらかが仕事を辞めた場合、その人の控除は使えなくなります。離婚時の処理も複雑になります。目先の控除だけで判断しないでください。 ■ 制度は変わります 住宅ローン控除は、ほぼ毎年のように改正されています。控除率、限度額、期間、要件のいずれもが変更の対象です。 適用されるのは「入居した年」の制度です。契約時点ではなく入居時点で決まるため、年末年始をまたぐ引き渡しでは特に注意が必要です。 最終的な判断の前に、必ず国税庁のサイトで最新の内容をご確認いただくか、税務署にご相談ください。
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