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「日本の人口は減るのだから、東京の不動産もいずれ下がる」——よく聞く見方です。しかし人口減少と一極集中は、両立します。むしろ人口が減る局面ほど、集中は強まる傾向があります。 ■ まず事実を押さえる 東京都の転入超過(転入者から転出者を引いた数)は、コロナ禍の2021年に大きく落ち込みましたが、その後は回復し、直近ではコロナ前に近い水準まで戻っています。テレワークによる「郊外・地方移住」は、一部の層では起きたものの、流れを変えるほどではありませんでした。 ※ 具体的な数値は総務省「住民基本台帳人口移動報告」の最新版でご確認ください。毎年1月末に前年分が公表されます。 ■ 理由1 仕事が集まっている 転入の主役は20代です。そして20代が動く理由の大半は就職と進学です。本社機能、専門職、成長産業の求人は東京圏に偏在しており、この構造は簡単には変わりません。 見落とされがちなのが賃金差です。同じ職種でも東京と地方では給与水準が異なり、若いうちほどその差が生涯所得に効きます。合理的な選択として東京が選ばれています。 ■ 理由2 女性の転入が男性より多い 近年の特徴として、東京への転入超過は女性のほうが多い状態が続いています。地方の求人が製造・建設・運輸に偏り、事務・専門・サービス職を求める女性のニーズと噛み合っていないことが背景にあります。 これは単なる人口移動ではありません。移動した女性の多くは移動先で家庭を持つため、次世代の出生地そのものが移動します。一極集中が自己強化される仕組みです。 ■ 理由3 世帯が小さくなっている 人口が減っても、世帯数は同じようには減りません。単身世帯と2人世帯が増えているためです。住宅需要は「人口」ではなく「世帯数」で決まります。 東京は単身世帯の比率が突出して高く、コンパクトな住戸への需要が厚い市場です。人口減少がそのまま住宅需要の減少にならない理由がここにあります。 ■ 理由4 外国人が増えている 日本全体の人口減少を、外国人人口の増加が部分的に埋めています。そして外国人の居住地も東京圏に集中しています。留学、就労、家族滞在のいずれの経路でも、受け皿は都市部です。 ■ 理由5 再開発が需要を呼ぶ 東京では大規模再開発が途切れなく続いています。オフィスと商業が更新されれば、そこで働く人の住宅需要が生まれます。インフラ投資も同様で、鉄道の改良や新線は沿線価値を押し上げます。 集中しているから投資され、投資されるからさらに集中する。この循環が止まる兆しは、現時点では見当たりません。 ■ ただし「東京ならどこでも」ではない ここが重要な点です。一極集中が続くことと、東京の物件がすべて値上がりすることは、まったく別の話です。 国立社会保障・人口問題研究所の推計でも、東京都の人口はいずれ減少に転じます。他地域より減り方が緩やかというだけで、増え続けるわけではありません。 実際、東京都内でも駅からの距離、再開発の有無、生活利便の厚さによって、資産価値の推移は大きく分かれています。「東京だから安心」ではなく、「その立地に人が集まり続ける理由があるか」で判断する必要があります。 ■ 物件選びにどう活かすか ・通勤利便だけでなく、生活利便(医療・商業・教育)の厚みを見る ・単身・2人世帯の需要が厚いエリアは、出口(売却・賃貸)で有利 ・再開発やインフラ計画は自治体の都市計画情報で確認できる ・「駅近」の定義は年々厳しくなっている。徒歩10分と15分の差は今後さらに開く 人口が減る国で不動産を持つということは、「減り方の緩やかな場所を選ぶ」ということです。東京一極集中は、その判断の出発点にすぎません。
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