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中古マンションには二つの価格があります。売主が「この値段で売りたい」と広告に出す売出価格と、実際に契約が成立した成約価格です。この二つは一致しません。そして市況によって、差の開き方が変わります。 ■ どちらの数字を見るべきか ポータルサイトに並んでいるのは、すべて売出価格です。まだ売れていない物件の希望価格であり、相場そのものではありません。 一方、成約価格は実際に取引が成立した価格です。首都圏であれば公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が毎月公表しており、誰でも無料で確認できます。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」でも、実際の取引価格を地域別に調べられます。 相場を知りたいなら、見るべきは成約価格のほうです。 ■ 差が開くとき、縮まるとき 売出価格と成約価格の差は、市場の力関係を映します。 差が開いているとき。売主が強気で値付けし、買主がそれに追いついていない状態です。売れるまでの期間が延び、価格改定(値下げ)が増えます。買う側にとっては交渉の余地がある局面です。 差が縮まっているとき。売出価格に近い水準で決まっている状態で、需給が締まっています。良い物件は出た直後に決まるため、迷っている間になくなります。 ■ なぜ都心で差が開きやすいのか 理由1 高額帯ほど買える人が限られる 1億円を超える住戸は、購入できる層が限られます。売主が周辺の高値成約事例を根拠に強気で出しても、その価格で動ける買主が現れるとは限りません。結果として売出のまま滞留します。 理由2 売り急がない売主が多い 都心の所有者には、住み替え先が決まっていない、賃貸に回しても収支が合う、といった「売らなくても困らない」層が一定数います。値下げする理由がないため、高値のまま出し続けます。 理由3 同じマンション内でも差が大きい 階数、方角、角部屋か否か、リフォーム履歴によって、同じ建物でも数百万円から一千万円以上の差が出ます。売主は上位事例を、買主は下位事例を根拠にするため、交渉の出発点が離れます。 ■ 買う側の実務 ・成約価格を先に調べる。東日本レインズと不動産情報ライブラリを併用する ・平均価格ではなく、専有面積あたりの単価(㎡単価・坪単価)で比べる ・売出からの経過日数を聞く。長いほど交渉余地がある ・価格改定の履歴を確認する。一度でも下げていれば、売主に売る意思がある ・成約事例は「同じマンション内」を最優先。次に同一町丁目、同じ最寄駅 ■ 売る側の実務 高く出して様子を見る戦略には代償があります。売出期間が長引いた物件は「なぜ売れ残っているのか」と見られ、最終的に相場より安く決まることがあります。 最も反響が集まるのは売出から2〜3週間です。この期間に適正な価格で出せるかが、結果を大きく左右します。 ■ オークションという選択肢 売出価格と成約価格が離れる根本の原因は、価格を売主が一方的に決め、買主が個別に交渉する仕組みにあります。 オークションでは、買いたい人が同時に価格を提示します。売主は「いくらで売れるか」を推測する必要がなく、買主は「他にいくらで買う人がいるか」が見えます。売出価格と成約価格の差という概念そのものが生じにくい方式です。 相場が読みにくい局面ほど、価格を市場に決めさせる方法が有効です。
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