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首都圏の新築マンション供給戸数は、2000年前後のピーク時に年間8万戸を超えていました。近年は2万戸台で推移しています。四分の一の水準です。 需要が消えたわけではありません。作れなくなっています。 ※ 供給戸数は株式会社不動産経済研究所が毎月公表しています。最新の数値はそちらでご確認ください。 ■ 理由1 建築費が上がり続けている 建物を建てる費用は、大きく資材費と労務費に分かれます。この十数年、どちらも上がり続けてきました。 一般財団法人建設物価調査会や一般財団法人経済調査会が公表する建築費指数を見ると、上昇が一時的な現象ではないことが分かります。国土交通省が毎年改定する公共工事設計労務単価も、十年以上連続で引き上げられています。 ■ 理由2 ナフサ価格が建材を押し上げた 意外に思われるかもしれませんが、原油から作られるナフサの価格が、マンションの原価に直結します。 ナフサは石油化学製品の原料です。マンションに使われる次のような建材が、すべてナフサから生まれます。 ・断熱材(発泡ポリスチレン、ウレタンフォーム) ・給排水管(塩化ビニル管) ・塗料、接着剤、シーリング材 ・防水シート、外壁の仕上げ材 ・電線の被覆材 ・サッシまわりの樹脂部材 原油価格の上昇と円安が重なると、ナフサ価格は二重に押し上げられます。輸入に頼る日本では、為替の影響が特に大きく効きます。 さらに厄介なのは、値上がりした資材価格が、原油が下がっても元に戻りにくいことです。人件費と物流費が上がった分は残るためです。 ■ 理由3 人がいない 2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。いわゆる「2024年問題」です。 これにより、同じ工期で従来と同じ量の工事をこなすことが難しくなりました。工期が延びれば、現場管理費も金利負担も増えます。 背景には、より深刻な構造問題があります。建設業の就業者は1997年をピークに減少を続け、しかも高齢化が進んでいます。型枠工、鉄筋工、左官といった技能職では、退職者を新規入職者が埋められていません。 技能の習得には年単位の時間がかかります。給与を上げれば明日から人が増えるという性質のものではありません。 ■ 理由4 土地が出てこない 都心では、まとまった規模の土地そのものが希少です。地権者が多数にわたる区画では、合意形成に何年もかかります。用地取得費が高止まりすれば、それだけで事業として成立しなくなります。 ■ 供給減少が中古市場に与える影響 新築が出てこなければ、住宅を求める人は中古に向かいます。これが近年、中古マンション価格を下支えしてきた最大の要因です。 注意すべきは、この関係が単純ではないことです。 新築価格が上がると、中古の割安感が際立ちます。一方で、新築価格が高すぎて手が届かない層が中古に流れ込むと、中古の価格も押し上げられます。実際には両方が同時に起きています。 ■ 買う側が押さえておくべきこと ・建築費が下がる見通しは、現時点では立っていない。「待てば安くなる」は成り立ちにくい ・供給が細い以上、条件の良い中古物件は競合が起きやすい ・築年数の古い物件でも、管理と修繕が適切なら選択肢になる。むしろ管理状態の差が価格差になる時代 ・大規模修繕の費用も同じ理由で上がっている。修繕積立金の水準は必ず確認する 最後の点は見落とされがちです。建築費の高騰は、新築の価格だけでなく、いま住んでいるマンションの修繕費にも及びます。積立金が不足している物件は、購入後に一時金を求められる可能性があります。長期修繕計画と積立金の残高は、購入前に必ず確認してください。
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